2022年4月10日(日)、糸魚川市にある海谷山塊「昼闇山」「高松山」登山にアタックしてきました。
昼闇山は「ひるくらやま」と読み、岩を意味する「嵓(ぐら)」を由来とする説もあります。
標高は昼闇山が1841m、高松山が1725m。どちらも登山道は存在せず、残雪を利用して登る
積雪期限定の山。アイゼンとピッケルを頼りに、雪山経験者のみが登れる山です。
朝6時に焼山温泉の駐車場を出発。歩き始めからもう雪の上です。
ゲレンデや雪で埋まった林道を進み、1時間50分で昼闇谷を通過。他の登山者は皆無。
そこから地形が険しくなるため12本爪アイゼンを装着。谷筋を進みます。
急斜面のトラバースでは30m下の沢まで足元が切れ落ち、緊張しながら横断しました。
「あそこに転落したら、助けてくれる人は誰もいない…」
こうした場合、単独登山者というものは、実に心細いものなのです。
歩き始めてから2時間30分で吉尾平を通過。すると前方に鉢山(1575m)が見えてきました。
鉢山はまるで要塞のような岩山。チャンスがあればそこにも登るつもりでした。
当然ながら鉢山にも登山道は無く、登れるかどうかは雪の状態しだいです。
大汗を掻きながら主稜線まで登り詰めると、ヌッっと鉢山が目の前に現れます。
ところが、想定していたルートがあまりにも険悪で、鉢山登頂は断念しました。
「あれじゃ、私の技量ではとうてい登れません…」
あっさりと鉢山をあきらめると、180度回転して昼闇山へ向かいました。
1600m台地を通過し、いよいよ昼闇山核心部となる山頂部への急斜面が待ち受けます。
Wストックをピッケルに持ち替え、ゆっくりと急斜面を登り始めます。
すでに歩き始めて6時間以上経過しており、足の疲れもたまっていたのでしょう。
この区間だけで右太もも1回、左太もも2回、右ふくらはぎ1回、左ふくらはぎ1回
足が攣ってしまいました。そのたびに雪の斜面にしばらくうずくまりました。
そうして雪崩と滑落の恐怖の中、必死に急斜面を登り詰めました。
13時02分、ついに昼闇山の山頂にたどりつきました。
昼闇山に登るのはこれで2回目でしたが、苦しかった分、ハンパない達成感でした。
そして、やはり山頂からの景色にはジーンときます。
目の前には真っ白な火打山や焼山が、実にすばらしい山容で聳え立っていました。
誰もいない昼闇山山頂。大展望を眺めながら、ゆっくりとラーメンをすすりました。
*写真 昼闇山から望む火打山・焼山
13時38分、昼闇山を後にして、高松山へと向かいます。
高松山へ向かうルートは初めてでしたが、稜線が明確なため安心して進みました。
後方を振り返ると、昼闇山東面の美しい雪稜に出会えました。
*写真 昼闇山東面 美しい雪稜
アップダウンを繰り返して、15時03分に高松山を通過。
想定よりも時間が遅れていましたので、急いで撮影を済ませて下山。
雪山の下山はあっという間。17時20分に無事下山を終えました。
田圃のあぜ道にびっしり出ていたフキノトウが印象に残りました。